6/17平日の振替え休日
突然舞い降りた休みであり、梅雨の中休み的に良い天気でのツーリング。
久しぶりというのもあり調子に乗ってどんどんと遠くへ...
そしてあと1時間で家に着くという距離で雨が...
平日の帰宅ラッシュに捕まり、家に辿り着いた時にはびしょ濡れです。
当然、愛用の革グローブ、ライディングシューズも...
今回は濡れてしまった革(特にライディングシューズ)の手入れのお話しです。
バイクの革製品
バイク乗りなら革製品の1つや2つ持っていると思います。
走行中 ライダー受け続ける風に対する防風性能に加え、耐擦過性がよく簡単には破れないためバイク事故の際地面に擦り下ろされてしまうのを防いてくれます。厚みによる防御性能もあります。
機能的な新素材のバイク製品が増え、抜きん出ている所はありませんがは高い信頼性と使う事で劣化していく新素材と違い、使う程にエイジングと呼ばれる味のある色に変化して行き、使用者にフィットして行く事で多くのライダーに愛されています。
革製品の弱点
革製品の弱点は水です。ライダーならツーリングで雨に見舞われてしまう事もあるでしょう。
革製品は濡れてしまうと傷が付きやすくなり、シミや型崩れを起こしてしまいます。
そして乾燥後に硬化を起こしたりカビが発生する事もありますが、キチンと手入れをすれば防げます。
今回の私の状況
家に到着し手袋を外すと真っ赤でビックリしました
!Σ(×_×;)!!
赤い革グローブの染色のせいだと気付き安堵しましたが...
そして、状況が最悪なのがライディングシューズ
普段、定期的にメンテナンスしている お気に入りのシューズなので、なんとか復活させたい...。
しかし、水を吸いまくり重さが尋常ではありません。
革を摘んでギュッと押さえると水が滴って来る程に水を吸っています...。
やってはいけないこと
靴だけではなくグローブにも当てはまりますが、ドライヤーや乾燥機、エアコンや扇風機等で急激に乾かすのは御法度です。
急激に水分が抜けて革が縮んでしまい、カサカサガチガチに硬化してしまいます。
硬化した革は傷が付きやすくなり割れが発生します。
ライダーの足元はギアチェンジやブレーキ、走行中のポジションを支えたり停車中にバイクを支えると過酷に動きますので、可動部は特に割れが発生したり足の疲れに直結します。
ライディングシューズ
水分抜き前
ライディングシューズは紐とベルトを外し、中敷きも外せるようなら外しましょう。
そして外観に泥や砂が着いているようなら、水を含んで革表面が柔らかくなっていますので注意してそっと拭き取りましょう。
水分抜き
新聞紙を使います。大量に...
靴の中につま先から順番に丸めた新聞紙を入れていきます。
外側も新聞紙で覆ってしまいます。
新聞紙に水分を吸わせる古典的な方法ですが、確実に1番失敗のない方法です。
その後は新聞紙が水分を含んだらこまめに取り替えて行きます。
30分、1時間と徐々に新聞紙が吸っていくスピードが落ちて来ます。
2日目は朝新聞紙を取り替え出社、帰宅後取り替えという感じになります。
3日目朝晩の取り替えです。
片方はかなり水分が抜けて来ました。左足は停車時に足を着くのでかなり雨がかかっていたので1日遅れの乾燥って所です。
4日目は右足は水分抜きを終了し、左足だけの新聞の取り替え
5日目水分抜き終了
オイルの塗り込み
両足の水分を新聞紙で抜いたのでミンクオイルの塗り込みです。以前の記事『革のライディングシューズのメンテナンス』でミンクオイルの塗り込み量の事に触れましたが、ミンクオイルは塗り込み過ぎると革のコシが無くなってしまい、型崩れを起こしてしまうと説明しましたが、今回はいつものメンテナンスよりも少し多めに塗りました。多めに塗りこむ時にはシミが出来ないように、1点をでは無く全体的に二度塗りする要領で行います。
抜いた水分の代わりにオイルを含ませる感じです。
仕上げ乾燥
適量以上のミンクオイルを吸い少し湿った感のある靴を少し強制的に乾燥させます。
先の『やってはいけないこと』では強制的に乾燥させないようにと述べましたが、それは水を吸い込んだ革。
今回は革を柔らかくするミンクオイルを吸い込んでいますので硬化も適度になります。
とは言ってもドライヤーや乾燥機等はダメです。
私のオススメは車内です。特に梅雨時期〜秋までは車内は陽の光を浴びで高温になります。この日光と高温に加えて窓を開けておけば風も抜けますし、オイルを塗ってあるので、砂埃が着くと落ちません。
1つ前のオイルを塗ったばかりと違い艶のある乾燥具合になったと思います。
オイル後に強制的に乾燥させるので適度に硬化してベルトや踵のベロもフニャッとした感じでは無く、シッカリとしてきましたのが分かりますかね...
あとは中敷きと紐を通せば完成です。
グローブ
水分抜き
着色された革なので先の写真のように色抜け、色落ちするかもしれませんが、靴と同じく新聞紙で水分抜きします。
見開いた新聞紙に片側
折り畳んでもう片側
そして新聞紙を乗せて重しをします。
靴と同じように新聞紙を取り替え3日目です。
汗ばんだ時のグローブ程に水分が抜けて来ました。
もう半日水分が抜けた所で自分の手に馴染ませようかと思います。
形状記憶
新聞に挟んで重しを乗せたままだと、ぺったんこの真っ平らで少し縮んでしまいます。
革手袋が使用してフィットしてきた所でしたが仕方ありません...
ツーリング中に何度もクラッチやブレーキを握るのでグローブのフィット感は疲労に直結式しますので、強制的にフィットさせます。
まだほんの少し湿り気のあるグローブをはめて拳を握ります。このままテレビやYou Tubeなど観て30分ほど過ごしましょう。
写真のグローブのように水を含んで変色していないようなら少し扇風機などに当てても大丈夫です。
左右の違いが分かりますか?
真っ平らのぺったんこ状態の右手と強制的に握り形状になった左手です。
私は新品の革手袋を購入した際も濡れた手でグローブをはめて この方法で強制的にフィットさせます。
革が経年でフィットする理由
革が長年使うとフィットするというのは以前話した水による形状成形と同じようなものです。
空気中の湿気や着ている人の汗を吸い、着ている人の動きや体勢により伸び縮み成形される為に着ている人にフィットしてくるためです。
ライディンググローブ等は顕著に現れますよね。
手汗を吸い水分を含みながらグリップを握っているために、拳辺りはその形に伸び 掌は縮んで使用者の手の形になっていくからです。
レーサーには新しいグローブを貰うと自分の形にするために、グローブをはめたまま水にジャブジャブと浸けて拳を握って乾燥させる人がいると聞いたことがあります。
私の革手袋の強制フィットもコレに近いですね。
さすがにジャブジャブとはいきませんが...
最後に
今回は急な雨に大切な愛用品であるライディングシューズとグローブがびしょ濡れになってしまいました。
季節はまだ梅雨の真っ只中であり、急な天候の変化で同じような目に遭っている方もいるでしょう。
私は革製作する立場なので対処も知っていたので良かったものの、知らない人には高価な革製品がダメになってしまうことも考え、今回は経過途中の未完成記事をUPし今回この更新し直した記事で完結としました。
革は生きて呼吸しています。
新素材の様に防水ではありませんが時間と共に劣化していきません。
使う人次第では一生モノです。
適切な対処でまたアナタと一緒に走れますように...